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過ぎた昨日は帰らない。
時間の流れは、音もたてずに静かに流れていく。
今年も早いもので、いつのまにか年末の慌しい様相を呈してきた。
 
冷え込んだ朝に霜が降り始める頃、紅葉し色付いた家の庭木は、一斉に葉を舞い落とし、庭の色彩は急速に色味を失い始めた。乾いた木枯らしが庭の木々の潤いを奪い、落葉となって庭の片隅に吹き溜まる。その落葉の始末に追われる休日の夕方。赤茶けた落葉を掻き集めながら、一年を振り返り、あれこれと思案した。
 
 
      
  今年の初め、色々と目標を掲げた。今年一年で、ああなりたい、こうなりたい、と。日々の目標達成のための努力をすることなく、目標は棚上げとなり、いつの間にか年の瀬になってしまった。自分のだらしなさを恨みながら、悔恨の念だけが残る。もし、あのとき、あそこで努力していれば。そんな無念が心を締め付ける。
しかし、地に落ちた葉は、もう枝には戻らない。そう思いながら、葉の落ちた庭木の枝に目をやると、枝先につぼみがあるのが分かった。落葉するときから、もう来年の芽吹きの準備をしているのだ。植物の力強さ、逞しさに、驚きと感銘を受け、何か自分の心の中でも代謝したのが分かった。過去を悔恨するのではなく、今から来年の芽吹きの準備をするのだ、と決起しビールをあおった。そして気分を良くした僕は、妻の制止も聞かずビールと焼酎を更にあおった。
 
 翌朝、アルコールの残った重たい頭をもたげ、のそのそと会社に向った。乾燥した晩秋の風が、僕の肌の水分を容赦なく奪っていく。かみそり負けした頬は粉を吹き、蒼白した顔色とあいまって、女性社員からは、粉吹き芋みたいだと揶揄され笑われる始末。頭痛が酷く、切り返すこともできず、ただ愛想笑いを繰り返した。
 
 明日から頑張ろう、と決意新たに、バファリンを飲み込んだ。

 


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